© 2017 HEY GIRL.
私の名前を呼ぶ人間が最も少ないであろう場所で、私は大いに腕を振って、肩で風を切って歩いた。
あんなに臆病で卑屈で伏し目がちに歩いていた私が。
知らない。知らない。あの人も。この人も。みんな知らない。知られていない。
たのしい。
ここはとても楽しい場所だ。
あの国にはなかった、こんなところは。
丸一日空を飛ぶだけで、こんなにも心地よい世界に来られるのなら、もっと早くに来ていたらよかった。
目標ができた。
私はここに住もう。
そのために、そのためだけに、あのゴミを溜めた世界で生きて、お金をためよう。
ここでならわたしはわたしのままで、わたしのためだけに生きていられる。